突然ですが、みなさんはマンションを購入するとしたら、高層と低層のどちらを選びますか?
一般的に、高層マンションとは20階以上、低層マンションとは4階までの建物を指すそうですが、これだけ高さの差があれば選ぶ側の理由にも明確な違いがありそうですよね。というわけで、それぞれの購入者に「○階を選んだ決め手」を聞きました(今回中層マンションは省きます)。
すると、「とにかく見晴らしの良い物件が良くて、20階以上を第一条件に選んだ」(20階/40代女性)、「ステイタスが欲しくて最上階の物件ばかり探した。予算以上の額だったけど思い切った」(32階/30代男性)という"高さ第一"の高層派と、「希望エリアは、法律上低層マンションしか建てられないところだった。階数に希望はなかった」(2階/30代女性)、「予算的に低層から選ぶほかなかった。強いて言うなら防犯上心配な1階以外がいいというくらい」(4階/30代男性)と、"高さにこだわりなし"の低層派に分かれる結果に。今回の調査に限っては、「高層と低層、どちらにしよう?」と悩んだ人はいませんでした。
高層マンションは、上層に行くほど価格が上がる傾向にあります。そこに価格以上のものを見い出すかどうかは購入者次第なので、「高い所が良い!」「高いところに住む必要性を感じない」と、好みや価値観の違いがはっきりと出るようです。
ともあれ、好みだけで選んでしまうと住んでから後悔することも。そこで次は、住宅ジャーナリストの榊 淳司さんに「高層マンションと低層マンションのメリット・デメリット」を聞きました。
●高層マンションと低層マンションのメリット・デメリット
「確かに、高層マンションは眺望が一番の魅力でありメリットです。良い景色を自分のものにできるという優越感は、何物にも代えがたいでしょう。また、大規模なタワーマンションともなると、プールやスポーツジム、パーティールームといった共用施設が充実していますよ。ただ、住むうえでのメリットというと正直言ってこれくらい。実は、デメリットも多いんです。特に災害など、なんらかの理由で電気が止まり自家発電も限界に達すると、エレベーターが動かず外との行き来が困難になるケースもあります。また、20階以上の場合、水を電気ポンプで引き上げていることが多いので、電気が止まるだけで水まで使えなくなる恐れもあります」(榊さん 以下同)
セレブのイメージが強く、憧れでもある高層マンションですが、弱みもあるんですね......。
「対する低層マンションは、災害に強いのがメリット。インフラが完全に止まったとしても、階段での昇り降りできるから外に出やすいので、比較的安心して暮らせると思います。ただし、周囲の建物の影響を受けやすいといったデメリットがあります。たとえば、近所に新しく作られた建物によって日当たりが悪くなってしまうことも。これによって、資産価値が下がるケースもあるんです。低層マンションは高く売りにくいとされているので、こういった周辺環境の悪化は致命的。購入する際は、南側に公園や道路がある物件を選んだほうがそういった心配が少ないでしょう」
●売却重視なら、高層マンションが有利!?
逆に、高層マンションは人気があり、低層マンションよりも高く早く売れる傾向にあるとか。不動産投資を考えている人は、そのあたりも考慮して選ぶと良いかもしれませんね。
「特に中古マンションの場合、新築に比べると階数による価格差が少なくなる傾向があります。なので、できるだけ上の階の物件を購入するのが吉。売却時、買い手が見つかりやすいので苦労は少ないと思いますよ。同様に、賃貸の場合も上の階の方が早く借り手が見つかる傾向があります」
高層マンションか低層マンション、結局どちらを選ぶかは何を優先するかです。みなさんなら、どちらをとりますか?
取材・執筆:松本まゆげ
フリーライター。編集プロダクションを経てフリーランスに。現在は女性アイドルやアニメの記事を中心に執筆する。2015年にマンションを購入し、マンションの売却などに興味をもつ。
記事編集:有限会社ノオト