値下げに応じなくてもいいケースがある!? 物件を希望額で売る方法

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中古不動産の売買で一般的に行われるのが、"値下げ交渉"。高い買物だからこそ、買主が「少しでも安く購入したい!」と思うのは当然ですよね。でも、売主としては「売買代金でローンを完済したい」「次の物件を買うための資金の足しにしたい」といった計画があることが多く、簡単に価格を下げたくないのが本音です。

では、一体どうすれば、売主は希望の価格で物件を売却することができるのでしょうか? ソニー不動産の売却コンサルティング事業部 部長の上出 昇さんに話を聞いたところ、どうやら、売主が「買主の値下げ要求に応じなくてもいい(強気に出てもいい)場合」があるようです。

「その代表例の1つは、多くの人が購入したいと思う"人気の高い物件"であることです。具体的には、売りに出して1週間足らずで複数件問い合わせが来たときは、"人気の高い物件"だと思っていいでしょう。興味を持つ人が多い分、『売主の希望額のまま買う』人が現れる可能性は高いので、強気に出てもいいと思います。そもそも、売却活動を始めて日が浅い物件は、市場に情報が行き渡っていません。『できるだけ早く売却したい』といったやむを得ない事情がない限りは、少なくとも1カ月くらい様子を見て、より良い条件で売却できる状況を作るべきです」(上出さん 以下同じ)

物件売却の説明を受ける男女

物件を希望額で売るには、周囲の物件の売り状況を把握

「また、同じマンション内や周辺の似通った物件が売りに出ていないときも、売主は強気に出ていいでしょう。買主側の選択肢や比較対象が少ないので、買主が、『ここは予算より高めだから、別の物件にしよう......』とはなりにくいですからね。そのため、売却が完了するまでに時間的な余裕がある場合には、一旦売却を中止して、まわりの似通った物件が売り切れてから再度売りに出すように、アドバイスさせていただくこともあります。」

「"ルーフバルコニー""メゾネット""最上階角部屋"といった、元々市場に選択肢が少ない物件も弱気になる必要はありません。こういった物件は大勢の人に興味を持たれなくても、『これじゃなきゃダメ!』という少数の人に刺さればいいわけですから」

他方、周辺環境が整っていなかったり、物件の状態が悪かったり、比較対象が多い状態で売りに出さざるを得なかったりする場合は、値下げに応じる必要もあるとか。この場合でも値下げし過ぎないようにするためには、室内の照明を変えたり、クロスの張替をしたりすることも効果的ですが、 "情報をより多くの人に知らせる"ことがより重要になるそうです。

値下げに応じざるを得ない状況なら、価格以外の価値を提案することも

「これ以上下げると損をしてしまう」「でも、今売らなきゃもう売れないかも......」といった状況で提示できる"代替案"を聞くと、こんな案が。

「あえて挙げるとすると、部屋の中にある家具などの"動産"を買主に譲る方法等が考えられます。特に高額帯のマンションだと、そこにふさわしいカーテンを一式そろえるだけでも100万円くらいかかることがあります。カーテンに多少の痛みがあっても、その家の雰囲気に合っていることから、譲ってもらえることにメリットを感じる買主もいるでしょう」

物件を希望額で売るには、周囲の物件の売り出し状況等の情報をしっかりと集めること、そして、より多くの購入希望者に物件の情報を届けることが重要なようです。そうしたなかで、売主と買主の双方が金額等について"納得"した状態で売買できるのが理想形といえそうですね。

取材・執筆:松本まゆげ
フリーライター。編集プロダクションを経てフリーランスに。現在は女性アイドルやアニメの記事を中心に執筆する。2014年にマンションを購入し、マンションの売却などに興味をもつ。

記事編集:有限会社ノオト

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取材協力

写真:上出 昇
上出 昇

大手不動産ディベロッパーを経て大手不動産仲介会社に入社。都内等数店舗で営業所長を12年超歴任。在籍中の表彰回数21回、内8回の1位表彰を獲得。2016年1月、ソニー不動産売却コンサルティング事業部部長としてソニー不動産に入社。