みんなはどう始めてる? 不動産投資実践者のリアルな声

数ある投資の中でも、難易度が高そうなイメージのある不動産投資。数ある関連情報を目にしても、どこか縁遠く感じている人もいるのではないのでしょうか? 

そこで、今回は不動産投資を実践している30~50代の3名にお集まりいただき、資金の調達方法や不動産投資の怖さなど、そのリアルな声を聞いてみました。


Aさん
30代。コンサルタント業を行いながら、2009年から不動産投資を開始。


Bさん
40代。会社員。2009年に副業として不動産投資をスタート。


Cさん
50代。会社員。2012年から不動産投資を始める。

――まずは自己紹介がわりに現在の物件所有状況を教えてください。

Aさん:僕は、古いマンションを区分所有で年に1部屋ずつ買い増してきて、現在は1棟ものに投資。新築アパート、築古のマンションを1棟ずつ所有しています。僕としては、コンサルタント業も不動産投資もどちらも本業という感覚ですね。

Bさん: 2009年にワンルームマンションの区分所有からスタートして、ピーク時で5棟50室を所有。現在は4棟40室で運用しています。現在、木造のアパートを建築中で、ほかにAirbnb用の借り上げ区分も2部屋ほど運営しています。

Cさん:知人に勧められ、郊外に一戸建てを購入したのが2012年のこと。5年間で少しずつ物件を増やして、現在は戸建て4棟、店舗兼住宅2棟、木造アパート1棟を所有しています。私も本業はサラリーマンなので、服務規定に違反しない範囲の自己資金で運用してきました。

●運用して実感する不動産投資の魅力とは

――マンションの区分所有から1棟マンション、戸建てまで投資対象はさまざまですね。不動産投資の魅力とメリットについてお聞かせください。

Aさん:これまで、株式投資やFXなどにトライしてきたが、不動産投資は難易度が高いと感じていました。でも、自宅用に購入した築古のマンションがすごく快適だったので、これは賃貸物件として魅力があるはず、と思ったのがきっかけです。リーマンショック後だったので、値下がりしていたのも功を奏しました。

Bさん:僕も商品先物から何から一通りやってきましたが、何といってもインカムゲイン、安定した家賃収入が大きな魅力だと思っています。将来的には年金代わりとして、長きにわたって安定を担保できるのではないでしょうか。もちろん、損をする場合もあるので、勉強は不可欠ですけどね。

Cさん:私は戸建て中心の投資なので、安定性をよりメリットに感じます。集合住宅ほど入居者の出入りが激しくなく、じっくり住んでいただけるからです。売却のインカムゲインの魅力ももちろんあるでしょうが、今はまだ手探りの状況ですね。

Bさん:ただ、インカムゲインも長期的に考えると山あり谷ありですよね。私の場合、マンションの大規模修繕を行って300万~500万円を支出したことがあって、そのときはリフォームローンを組みました。さすがに、手元にキャッシュがないのは不安ですからね。今はその教訓を踏まえて、大規模修繕のタイミングが来る前に売却する、といった選択肢も視野に入れるようになりました。

Cさん:私もありましたよ。都市計画が進んで、急に下水溝設置の支出を迫られた。不動産投資の勉強会で学んでいたことではありますが、やはり予想外の出費を踏まえておかなければ難しい面はありますね。

不動産投資のイロハ、まずは何から学ぶべき?

――Cさんは、不動産投資に関するコミュニティ入って不動産投資や物件経営を学ばれていたそうですが、ほかのお二人はいかがですか?

Aさん:個人投資家が集まるコミュニティに所属もしていますね。最初は書籍などで勉強しましたが、体験者、実践者の話から学べることは多いですから。ほかの投資もそうですが、不動産は特に勉強が有利になると思っています。すればするほど成果に結びつきやすい。これが僕の実感です。

Bさん:僕も、セミナーや懇親会にはしょっちゅう足を運び、実体験を聞く機会を増やしていますね。とはいえ、最初はやっぱり本もある程度読んだ方がいいと思います。不動産業者と折衝する中で、ある程度専門用語を知っていないと足元を見られることがある。不動産の取引といっても、結局は対人コミュニケーションですからね。

Aさん:それは実感しますね。確かに勉強だけでも行き詰ります。本気で物件を探して、担当者とやり取りをしたり、内見したりして経験を積むことが実になります。勉強と実践を両輪で回していくことが大切だと思います。

投資費用はどうやって準備している?

――複数の物件を手がけているみなさんですが、最初は一つの物件からのスタートだったと思います。金策など、スタートアップ時の苦労を教えてください。

Bさん:私は最初に買ったのが300万円のワンルームマンションです。フルローンを組めますと言われましたが、怖かったので値引きして現金で購入しました。現在の投資家目線からしたら絶対に買わない物件ではありますが、小さなステップを踏み、次第に大きくしてきたからやってこられたと思います。

Aさん:僕もそうなんです。借りるのが怖かったので最初は自己資金で投資を始めました。経験を積むうち、ローンの活用が資金温存になることも分かります。ただ、返済額でビビることはありますね。月100万円の返済額になったら、これは物件の収入が途絶えたら返せないな、と恐怖も感じます。

Cさん:私の場合は郊外の戸建てが主で、あまり空室リスクは感じていないんです。AさんとBさんは、空室リスクはどうお考えですか?

Aさん:ある程度の空室率を見込んで、長期的に試算して十分になり立つという計算のもとでしか購入しません。たまたまですが駅近物件なので、想定より入居率は高い傾向にあるので安心ですけど

Bさん:でも、Aさんが「返済額にビビった」というのは分かるなあ。私も、最初に物件を購入したときよりお金を借りた時の方が怖かったもの。給料より返済額が多くなったときは、いくらシミュレーションしても不安でしかありませんでした。

Aさん:資金の調達、運用はシビアですよね。僕は独身なので気になるところですが、お二人は不動産投資へのご家族の理解はどうなんですか?

Cさん:えーと、私は家族にはまだ内緒にしています(苦笑)。現在までの購入は余剰のキャッシュで済ませられましたが、今後は大きな展開を考えると、融資も駆使していかなければなりませんからね。子どもの進学もありますし、タイミングを見て理解を得ていこうと思っています。

Bさん:妻、親に反対されることは結構ありますからね。私は親には相談していますが、兄弟には内緒です。これは親族に限りませんが、不動産投資って自慢に聞こえることもあるから、あまり人に言いにくいじゃないですか。ただ、私の場合は妻の理解はすごく大切にしてきました。一緒に見に行って、「いいんじゃない」と言われた物件しか買いません。

Cさん:たしかに、女性目線は大事ですよ。マイホームにしてもファミリーの賃貸にしても、決定権を持っているのは多くが女性ですから。その視点は、入居者目線に立つことにもつながるでしょう。

今後の不動産投資はどう動く!? 実践者の視点で展望

――では最後に、実際に物件を購入、運営を続けている皆さんにズバリ聞きたいと思います。今は不動産投資の始め時だと思いますか?

Aさん:物件価格が上がってきていますから、見合う物件を見つけるのはなかなか難しいかもしれません。ただ、チャンスはあります。十分な勉強、行動量が支えになるでしょう。僕はモノづくりが好きなのでリフォームや物件の宣伝を工作感覚でやれているんですが、「楽しむ」というのが大きなポイントになると思います。

Bさん:私の場合は、あまり手を動かすのは好きじゃないですが(笑)、住宅雑誌を見るのは昔から好きでいた。そういう意味では、Aさんのおっしゃる「楽しむ」も少しは実践できているのかもしれませんね。ただ、大事なのは、不動産自体で利益が上がる仕組みを構築してから購入すべき、ということです。たまに、キャッシュフローが出ていないのに物件を持って満足をしている人もいますから。

Cさん:そうですよね。自己資金でやる場合も、ローンを組む場合も、自分の所得がどのようになるか試算することが大切。会社に依存して、公的年金に頼っていける未来は描けないかもしれません。そのときには、しっかりとしたキャッシュフローとして、不動産投資は強い味方になるでしょう。株式や為替などと違って、投資スパンがゆっくりしているのが不動産の特徴。初心者には向いています。Aさん、Bさんがおっしゃったように、勉強と実践、この二つを愚直に回していくことでしょうね。

取材・執筆:佐々木正孝

ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

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