不動産投資のタイプ別メリット・デメリットが知りたい!

会社員の副業としてスタートする人もいる「不動産投資」。マンションや戸建てなど、投資する物件のタイプによって、リスクとリターン、必要な自己資金の額も異なってきます。

そこで、ソニー不動産売却コンサルティング事業部資産コンサルティング課トップエージェントの山本健司さんに、投資物件をタイプ別に挙げてもらい、それぞれのメリットとデメリットを説明してもらいました。

「不動産投資は資金計画に目が向きがちですが、管理にかかる負担も無視できません。大家として自分で管理するかどうかによって、金銭的、時間的なコストが変わってきます。必要な資金と管理のコストを考えつつ、それぞれの特徴を把握していただきたいですね」(山本さん 以下同)

では、具体的に「ワンルームマンション」「戸建て」「アパート」「一棟マンション」のメリットとデメリットを見ていきましょう。

●ワンルームマンション(運用資金:500万円~)

「ワンルームタイプは築年数の経過による賃料下落リスク、空室リスクを無視できません。ただ、郊外であれば200万円台からでも購入できますので、フットワーク軽く売買できるのは大きなメリット。不動産投資のスタートを切るには最適な選択肢の一つになるでしょう」

ワンルームマンションのメリット


・少額の資金から投資ができる
・立地の良い物件が入手しやすい
・購入、売却が比較的容易で流動性が高い
・共用部分の管理が不要
・建物価格の割合が大きいので、減価償却が大きく取れる(確定申告時に有利)

ワンルームマンションのデメリット


・収入規模を大きくするには何戸も購入する必要がある
・建物の管理や修繕計画、管理費などの改定は、管理会社や管理組合が行うのでコントロールできない
・1区分あたりの空室率が100% or 0%なので空室リスクが高い

●戸建て(運用資金:1000万円~)

「戸建ては不動産投資としてはやや複雑で、ビギナーにはあまりオススメできません。築年数が経っても土地の価値が残るメリットはありますが、マンションと違って修繕積立金がないので、まとまった額の修繕費用が発生することもあります。

戸建てのメリット


・立地の良い物件が入手しやすい
・高利回りな物件が見つかることもある
・購入、売却が比較的容易で流動性が高い
・年数が経過しても土地の価値が残る
・自分が好きなように修繕できる

戸建てのデメリット


・中古物件であれば購入時に修繕費が発生することがある
・収入規模を大きくするには何戸も購入する必要がある
・1区分あたりの空室率が100% or 0%なので空室リスクが高い
・利用できる融資が限定される

●アパート(運用資金:3000万円~)

「『アパートローン』などのローンが多く、融資を受けやすいのが大きな特徴です。ただ、戸数が少ないと融資を受けづらいこともあります。そして、利回りのいいアパートを探すと築年数が経過している物件になりますが、この場合は融資期間が短くなってしまいます。たとえば、利回り10%のアパートを買っても、5年しか融資が確保できないこともあり、そうなると、50%しか回収していないのに100%を返済しなければなりません。慎重なプランニングが求められます」

アパートのメリット


・戸数が多い物件を選べば入居率と空室率の変動が少ない
・「アパートローン」など、融資の選択肢が豊富で受けやすい
・RC造に比べ、建物管理費や固定資産税などが安く、維持コストが抑えられる
・取り壊しに際してもコストは低く、土地の価値も残る

アパートのデメリット


・木造建造物は法定耐用年数が22年のため、建物の築年数が経過していると融資期間が短くなる
・一定の築年数を経ると賃貸競争力が低下し、賃料が下落する。また、老朽化により新たな入居者がなかなか見つからないことがあり、空室率に影響が出る

●一棟マンション(運用資金:5000万円~)

「購入希望者が多く、良い物件ほど高掴みになってしまうのが現状です。投資額が高額になるので、リスクも膨らみます。たとえば、修繕に関する項目では、エレベーターの交換費用は1台交換するのに約500万円からの費用が発生します。また、最終的に取壊しをする際は、解体費用が高額になること、目に見えない部分として、地中に埋設されている杭の撤去費用等、木造建築物とは異なる費用が発生いたします。このようなリスクを踏まえて、運営計画をプランニングする必要があります。

一棟マンションのメリット


・木造アパートに比べて収益が得やすい
・鉄筋コンクリート造であれば法定耐用年数が42年なので、長期保有すると返済計画が立てやすい。

一棟マンションのデメリット


・購入希望者が多く競争が激しい
・投資が高額になるため、失敗した時のリスクが大きい
・物件によりエレベーター・オートロック・受水槽など共用部分の経費が高い
・修繕費用が高くなるため、しっかりした運営計画が必須
・土地の価格は残るが取り壊し時に高額なコストが発生する可能性がある。

ビギナーは自分にあった投資方法を選んでステップアップを実現していきたい

自己資金との兼ね合いを考えながらですが、ワンルームマンションからスタートする方もいれば、木造アパートからスタートする方もいます。最初は余剰資金から投資をはじめ、徐々にステップアップを目指していきます。

「仮に不動産投資のための自己資金が500万円程度あったとして、手堅く販売価格500万円以下のワンルームマンションを購入するのも良いでしょうし、その自己資金500万円+銀行融資で木造アパートを1棟購入するのもありです。そこからステップアップして鉄骨アパートや鉄筋コンクリート造の1棟マンションの運営、さらに都心部の不動産取得に進出していく――。このようなステップアップができることが不動産投資の魅力だと思います」

不動産投資を始めるなら、ロードマップをきちんと引いてくれる信頼できるパートナーと相談しつつ、楽しみながら進めていくのが良さそうですね。

取材・執筆:佐々木正孝

ライター/編集者。有限会社キッズファクトリー代表。情報誌、ムック、Webを中心として、フード、トレンド、IT、ガジェットに関する記事を執筆している。

編集協力:有限会社ノオト

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取材協力

山本健司

ソニー不動産 資産コンサルティング部 副部長。トップエージェント。大手不動産仲介会社の勤務を経て、2015年にソニー不動産に入社。新設時から資産コンサルティング課に参加している。お客様に寄り添い、新しい価値を提供していくことが信条。