不動産投資にありがちな3つの失敗例、共通するのは●●なこと!

不動産投資を始めようとするとき、自己資金だけではなく、ローンを組むことは少なくありません。大きな金額が動くだけに、大きなリスクは避けたいところ......。

そもそも、不動産投資ではどんな"失敗例"がよくあるのでしょうか。越谷大家塾講師・井上嵩久さんに、不動産投資で陥りがちな3つの失敗例について、指摘してもらいました。

失敗事例1
長いスパンでの利回り計画はしっかりと!

「2年前に新築のワンルームマンションを購入しました。フルローンだったので、家賃収入が頼みの綱。ともあれ、最初は入居者もすぐに決まり順調に進んでいるかのように見えました。しかし、退去してからが大変! 『新築』というプレミアがなくなったため家賃を下げる羽目に......。結果、月々のローン返済額が家賃収入を上回ってしまいました。毎月増えていく赤字。当然抱えきれなくなってしまい、1年後に売却。そのときには、何百万円も補填しなければ売れないほど物件の価値が下がっていました。僕の計画が甘かった失敗談です」(Aさん・男性)

なんでも、この事例は不動産投資によくある失敗なのだとか。

「上の事例の中にも話がありましたが、『新築』の謳い文句は一度しか使えません。『新築物件』なら家賃で10万円もらえていたとしても、次からは8~9万円くらいに下がるケースが多いでしょう。これは、不動産のそのものの価値にも言えることです。ここが盲点になりがち。投資するなら、大きな値崩れがし難い中古物件の方が失敗しにくいでしょうね。新築物件は、購入した時点で中古になります。購入するのであれば、そうしたことを踏まえて投資しなければ、資産をマイナスにしてしまいます。10~20年後の利回り、不動産の価値を十分検討して選ばなければ、投資の意味がなくなってしまいますよ。」(井上さん)

長期スパンで利回り計画を立てることが不動産投資を行う上で大事になってきそうです。

失敗事例2 
修繕のリスクは必ず考慮する

「1年前、中古マンションを1部屋購入し賃貸にしました。築年数は30年ですが、リノベーションされていてとてもキレイ。入居者さんにも満足してもらえていました。ところが半年後、入居者さんよりお湯が出ないとクレームが! どこに頼んでよいのか分からず、右往左往してしまい結局、その日のうちに直すことが出来ずに入居者さんに迷惑をかけてしまいました。しかも、費用は40万円以上。リノベーションされているから、給湯器も取り替えられていると思い込んでいましたが、そうではないんですね......。1年目にこんな大きな出費があるとは思わず、呆然としています」(Cさん・女性)

室内にはない給湯器。リノベーション時に交換されたかは、購入前に説明がされるケースもありますが、正確な状態を把握することは難しいですよね。ただ、これについて井上さんは「そのリスクを見越して購入するべき」と言います。

「給湯器は定期的に交換する必要がある消耗品で、8~10年前後が寿命といわれています。築年数が相当数経過している物件は、当然給湯器の状況も把握しましょう。ほか、アパートであれば外壁塗装も定期的なメンテナンスが必要です。外壁は、触ったときに白い粉がつくと防水効果が切れている可能性があり、放置してしまうと、それこそ大きな損害になりかねません。細かいところでいえば、水道のパッキンやトイレの水漏れ、エアコンの不具合、照明器具などにも注意が必要です」(井上さん)

こうしたことは、事前に確認できる範囲は確認した上で見越しておくべきこと。購入前に点検して老朽化が確認できれば、それを交渉材料にして物件の購入価格を下げることもできるかもしれません。「失敗した」「損した」と感じないために、物件のことを深く知ることも大事です。

失敗事例3 
騒音トラブル

「大家としてマンションを一棟管理しています。1年前、入居したばかりのとある男性から『上の階がうるさい!』と連絡がありました。上の階の住人は、小学生の子どもがいる家庭。お子さんが騒音を出していても無理はありません。そこで、ひとまずは注意を促しました。しかし、男性いわく騒音が収まらなかったそうで、上の階の住人に強く注意をしたところトラブルに......。ところが、よくよく調べると、音の原因は上の階の室外機。気になると言えばなるかな? くらいの微々たるものでしたが、男性は『耐えられない』とのこと。結局、室外機に防音シートを置く処置もとりましたが納得してもらえず。男性には退去してもらいました」(Cさん・男性)

いつの時代もなくならないのが、騒音トラブル。一般管理をしている場合は、これを仲裁したり解決に導いたりするのも大家の仕事です。

「騒音トラブルの多くは、加害者側がある程度の自覚をした上で音を出しているため、注意をすれば解決することもあります。しかし、今回のケースのように『加害者と呼ぶに値しない』場合もあるのです。最善の対処法は、中立であること。注意を促すときも、『下の階に住んでいる方がこう言っているんですが、心当たりはありますか?』と言うくらいにとどめ、加害者と決めつけるような言い方は避けましょう。また、いつ騒音が起こるか分からないことも多いので必ずしもできる対処ではありませんが、自分自身で"現場検証"し、騒音と呼べるか否かを判断することも重要。その上で、仲裁や施工での対策など、大家としての最善策を考えられればベストですね」(井上さん)

ちなみに、今回の事例のもう一つの落とし穴は、短期間での入退去によるマンション側の出費。

「短期間のうちに二度もクリーニングや修繕をすることになり、負担は大きいはずです。これを防ぐために、『少なくとも1年は退去しないこと』、可能であれば『1年以内に退去する場合は費用を負担すること』といった事前契約を考えられる方も多いですよ」(井上さん)

音に敏感な人かどうか、入居前に判断するのは至難の業。今回のような失敗を招かないためにも、こういった契約を結んだり、事前に「今隣に住んでるご家族には、小さいお子さんが居ます」といった断りを入れたりするのも手かもしれません。入れ替わりの多い賃貸では後者のような策はあまり効力がないかもしれませんが......回避法の一つにはなるはず!

●不動産投資の失敗 は"無知"が招く

ここまで3つの事例を見てきましたが、すべてに共通していえるのはオーナー自身が、自分が管理している、という自覚をもつことです。

「投資で動くのは、あくまでも自分のお金です。『最終的な責任はすべて自分にある』と自覚し、オーナーとして毅然とした行動をとりましょう。そのためには、相応の知識を得て必要以上の出費を防ぐ"策"を身につけましょう」(井上さん)

「何もしなくてもお金が入ってくる♪」。そんな"甘い蜜"は、投資界に存在しない! ここでみた失敗と対策を入り口に、みなさんも正しい投資を学んでみませんか?

取材・執筆:松本まゆげ
フリーライター。編集プロダクションを経てフリーランスに。現在は女性アイドルやアニメの記事を中心に執筆する。2014年にマンションを購入し、マンションの売却などに興味をもつ。

記事編集:有限会社ノオト

この記事をシェアする

取材協力

井上嵩久さん

不動産売買仲介、賃貸管理、リフォーム、コンサルティングなど、不動産に関するさまざまな業務に従事したのち、アイホームコンサルティングを設立。代表取締役に就いたほか、不動産オーナーにノウハウを伝授する「越谷大家塾」で講師も行っている。著書は『空室対策のすごい技』(日本実業出版社)など。
越谷大家塾
http://koshigayaooya.com/