【座談会】単身女性のマンション購入、その決め手は?

総務省の「平成20年住宅・土地統計調査」の「追加集計」によると、"持ち家共同住宅に住む単身女性"は結構多いのだとか。その率は年齢ごとに増えていき、40代後半を見ると単身男性の2倍もの持ち家率になるそうです。

思えば......友人や仕事仲間から「あの人、マンション買ったらしいよ」と耳にすることがちらほら。かくいう筆者(33歳・女性)も、そのひとりです。

「マンションを購入した単身女性」は、なぜ賃貸ではなく購入を選んだのでしょう? 4人の単身女性に集まってもらい、座談会を行いました。

Tさん
サービス業・34歳。2016年12月、都内に居住用マンションを購入

Kさん
不動産業・38歳。2016年3月、都内に居住用マンションを購入

Fさん
出版業・25歳。2017年3月、神奈川県内に投資用マンションを購入

Aさん
求職中の44歳。2017年8月、都内に居住用マンションを購入。そのほかにも投資用物件あり

●投資派と居住派で二分した単身女性の座談会

――まずは、マンションを購入した理由から教えてください。

Tさん:私は、単純に家賃を払うのがバカらしくなったからですね。毎月お金をただ"消費"するよりは、マンションを買ってしまったほうが、自分の資産になるじゃないですか。

Kさん:それ、わかります。賃貸の更新料ってなんであんなに高いの?と常々疑問を抱いていたので。私は正直、「家を持ってる女性ってどうなの? 結婚遠のかない?」と思って二の足を踏んでいました。でもそんなとき、同僚が3800万円のマンションを手放すことになり、半ば勢いでそれを買うことにしたんです。以前の賃料より3万円くらい高くなったものの、今のほうが家に対する満足感は高いですね。

Tさん:私は、1Kの賃貸物件に 10万円払って住んでいたんですけど、今は1LDKで9万円。2000万円の物件で築年数は古いですが、リノベーションされているからきれいだし、宅配ボックスもついてる。前より断然住み心地良くて、もっと早く買っておけばよかった!って思います。

――たしかに、分譲マンションを賃貸で借りているというパターンを除けば、マンション施設の充実度は、買ってしまったほうが高いですよね。ではFさんとAさんは?

Fさん:私は、最初から投資目的なんです。3月まで会計の仕事をしていたこともあって、仕事柄「ローン完済後の家賃収入は大きい」って感覚的に身についていたし、マンションを買っている人が比較的多い環境だったと思うんです。なので、踏み切った感じですね。

2000万円の物件だから返済もそこまでリスキーじゃないですし、もともと住んでいる方がいる物件なので、その人の家賃を返済にあてられるのも良かったです。だから今のところノーダメージ。毎月、家賃収入と返済額の差額の9000円くらいが振り込まれています。

Aさん:私も、人生を逆算して考えたときに蓄えがほしいなと思って。社会人1年目から株や投信など、いろいろ試してみて、一番効率が良いと思ったのが不動産だったんです。で、24歳くらいのときに1件目を1200万円で購入して住み始めて。返済が終わった30代始めの頃、売却額を頭金にして2件目を買いました。それをわらしべ長者のように繰り返して、今に至ります。今住んでいるのは5300万円50平米強の新築で、月々の返済額は17万円弱ですが、10万円で賃貸に出している物件を2件持っているので、その収入で補えています。

Fさん:新築だなんてすごいです! 私にはまだそこまで考えられないですけど......なんだか希望が持てました(笑)。

――まさに財テクの成功者ですね。何件も持っていると、ローンって組みづらくなるんじゃないですか?

Aさん:いえ! 今住んでいる家以外は完済しているんですよ。だから逆に組みやすかったです。もし何かあっても、今住んでいるマンションと賃貸に出している2件の売却益で相殺できるので。

Kさん:しかも50平米以上の物件だと、住宅ローン控除がもらえるから良いですよね。私の家は44平米だから、「控除できたら良かったのに......!」ってたまに思います。

Tさん:私は、あまり何も考えずに探していたんですけど、ギリギリ50平米以上なのでそこは助かってます。残額の1%を還付してもらえるかどうかって大きいですもんね。ただ、一人暮らしにはちょっと広すぎますけど(笑)。

Aさん:わかります! 私もスペースを持て余しています(笑)。

――ちなみに、最初に購入されるときお金面はどうしましたか? 私は社会的信用が低いフリーランスなので、ローン審査はヒヤヒヤしていたんですけど......。

Fさん:前職が割と大きな会社で給料が良かったので、その辺は有利でした。転職して給料がガクンと下がってしまったので、今だったら危うかったかもしれないですけどね。親にも頼ってないです。

Aさん:私は......1件目のときは、頭金500万円を親に借りました。早々に返しましたけど。

Tさん:私は親に相談したら「援助するよ」と言ってくれたので、300万円ほど頭金にさせてもらいました。ゆくゆくは返さないといけないかな(笑)。

Kさん:私も、頭金は親からもらった1000万円です。どうやら結婚資金だったみたいですけど、今はまだ使う予定ないからいいか!って。おかげで、ボーナス返済の17万円がなくなったのでホッとしました......。

●"立地"で資産価値を"ときめき"で住み心地を見る

――では、物件選びのポイントについても聞きたいです。同僚の方の物件を買ったKさんは、"選ぶ"はしなかったようですが......。

Kさん:確かに。ただ、魅力を感じなければ買っていなかったと思いますよ。

――とすると、惹かれた部分があった?

Kさん:その同僚は不動産マニアだから、彼女が選んだ物件なら間違いないという信頼もありました。実際に内見して魅力に感じたのは、日当たりの良さ。あと、キッチンに窓がついているのも惹かれたポイントですね。

私は不動産会社で営業をしているので、実感としてもあるんですけど、女性ってやっぱり生活目線で物件を見る傾向があるんですよ。「住み心地良さそうだな」「ゆっくりできそうだな」と、"感情"で選ぶというか。私も、まさにそういうところがあったなと。

Tさん:私も、言われてみればそうかも。我が家のリビングダイニングの壁、一面だけパステルグリーンなんですよ。それを見た瞬間、ときめいちゃって(笑)。自分がその家で暮らしている様子を思い浮かべましたから。

Fさん:あとは、立地ですよね。私の場合投資目的だったので、資産価値が保てるエリアかどうかが一番のポイントだったんです。買うなら東京23区、川崎、横浜、大宮の駅近物件。結果、川崎に手頃なものを見つけたのでそこにしました。様子見としてはちょうどいいかなって。

Aさん:私は、今まで買った全物件が中央区勝鬨近辺で、川や運河に面しています。気に入っているエリアだし、川に面していれば眺望はほぼ変わらないですからね。しかも、現在までの20年間で大江戸線が通ったり再開発が始まったりとアップトレンドになったんですよ。だから利益も上がりやすかったです。結果的にラッキーでした。

Kさん:より良い資産にするためには、立地って重要ですよね。ウチも、駅近で二駅三路線使えるのはかなり魅力でした。できれば、もう手放したくないです。


●「結婚しても住み続けたい」購入物件の今後

――では、今後は今の物件をどうしていく予定ですか?

Fさん:先のことはあまり考えられないんですけど、近い将来1Kの物件をもう一つ買うのが理想ですね。そのためにも、不動産情報は逐一チェックするようにしています。

Tさん:私は、安い物件なので早めにローンを終えて、できるだけ長く住んでいたいですね。もうあまり考えてないんですけど、万が一結婚したとしても住み続けたいです。

Kさん:私は、結婚して出ていくことになったとしても、せっかくの資産だから残しておきたいな。賃貸に出せば15〜16万円くらいになる物件なので、ローンが終わっていなくても、お小遣いくらいにはなると思いますし。

Aさん:私も、手放す予定は全くないですね。結婚して夫の転勤についていくことになっても、戻ってくる家として残していきたいです。

Kさん:やっぱり"自分のもの"だと思うと大切にしたくなるんですよね。掃除も丁寧にやるし。

Tさん:そうですね。愛着がわいてしまったから、余計に手放したくないのかもしれないです。


取材・執筆:松本まゆげ
フリーライター。編集プロダクションを経てフリーランスに。現在は女性アイドルやアニメの記事を中心に執筆する。2015年にマンションを購入し、マンションの売却などに興味をもつ。

記事編集:有限会社ノオト

この記事をシェアする