タワーマンションを賃貸に出したい!貸しやすい物件の選び方と好条件で貸すテク

都心部を中心に、今なお増え続けているとされるタワーマンション(以下、タワマン)。超低金利とあって、投資や購入を検討している人もいるかもしれません。

「とはいえ、都心のタワマンを『住むために買う』人は、正直言って半分くらい。値上がりを期待して投資したり、賃貸に出したりと目的はさまざまです。首都圏以外だと、セカンドハウスとして購入することも多いようですね」

こう話すのは、住宅ジャーナリストの榊 淳司さん。中でも賃貸は、分譲が主流となっているタワマンには比較的珍しい形態。立地によっては分譲と同じくらい需要が高いといいます。では、もし今後タワマンの一室を賃貸に出す場合、どういった点に気をつければいいのでしょう? 榊さんに詳しく聞きました。

●買う前に知っておきたい賃貸向きタワマンの選び方

今後タワマンの物件を購入予定で「賃貸も視野に入れている」人は、需要の高さと利回りの良さに細心の注意を払って物件選びをするべきとのこと。

「『人気だからすぐに借り手がつく』というイメージのあるタワマンですが、東京の場合は都心から少しでも離れてしまうと空き家が多いのが現状です。購入するなら青山や六本木などの人気エリアや、徒歩5分以内の駅近物件といった需要の高い立地でないと、苦労することになります。それに、タワマンの一番の魅力である眺望も重要なポイント。できるだけ眺めの良い"北向き"の部屋を選びましょう。タワマンの南向き物件は日当たりが良すぎてカーテンを開けられないといったケースもあるので、実は需要が低いんです」(以下 榊さん)

また、中層階以下は賃貸には不向き。需要が低いうえ、中層マンションとほぼ同じ家賃設定でタワマン特有の高額の管理費を払わなくてはいけないため、利回りが悪くなってしまうそうです。

「ちなみに、いくら高層階であっても新築物件だと購入額自体が高額のため、利回りは当然悪くなってしまいます。強いこだわりがなければ、"中古物件の高層階"の購入を検討するのもいいと思いますよ」

●タワマンを好条件で貸すためのイロハ

では、すでに購入した物件を賃貸に出す場合、どうすれば早く借り手を見つけられるのでしょうか?

「やはりタイミングは大切です。年度替わりの2~3月に一番借り手が増えるので、できれば2月には出しておきたいですね。逆に、最も借り手が少ない時期はゴールデンウィークや8月。この時期に出すと、半年くらい空き部屋になってしまうこともあります」

賃料は相場によって決まります。月々のローン返済額が家賃を上回らないよう、前述のような需要の高い物件を選んだり、低金利の時期に固定金利でローンを組んだりしていると、家賃収入も見込めます。とはいえ、どれだけ吟味して買ったとしても「購入してから資産価値が下がる」こともあり得ます。榊さんによれば、そこで使えるテクがあるのだとか。

「タワマンに限らずですが、不動産会社に仲介してもらうと広告料を支払う習慣が常態化しています。これを少し高めに設定すると、不動産会社が優先して借り手を探してくれることも。裏ワザ的な手法ではありますが、何カ月も空室にしてしまうくらいなら、ひと月でも早く借り手を見つけて家賃収入を得たほうが結果的にプラスになるはず。需要の高い時期に賃貸に出せなかったときにも、有効だと思いますよ」

また、物件のアピールポイントを自分で見つけるのも方法の一つ。タワマンの場合、眺望は大きなウリになるので、富士山が見える日や夕焼けがきれいな日など絶景のタイミングで写真を撮っておきましょう。それを自分の物件広告に載せると、同等の物件と差をつけられます。

●賃貸管理のポイント

「ほかにも、キレイに掃除して引き渡すといった配慮はするべきでしょう。使っていたカーテンをつけたままにしておくのも、出費や手間が省けるので借り手にとってメリットになると思います。無事借り手が見つかったら、その後はオーナーとして管理することになりますが、管理会社を挟んで手数料を払うよりは、自分で管理する方がいいケースもあります。タワマンは中古だったとしてもそこまで古い物件ではないので、エアコンやガス給湯器などの高額が室内設備の買い替えが必要になることはあまりないですし、共用部分の破損なら自費で負担することは少ないですからね」

ところで、住宅ローンを組んで購入したにも関わらず、一度も自分で住まずに賃貸に出すことはできないので注意を。これからタワマンを買おうとしている人も、すでに購入済みの人も、タワマンを賃貸に出す際はまずは上記のポイントを押さえておきましょう!

取材・執筆:松本まゆげ
フリーライター。編集プロダクションを経てフリーランスに。現在は女性アイドルやアニメの記事を中心に執筆する。2015年にマンションを購入し、マンションの売却などに興味をもつ。

記事編集:有限会社ノオト

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取材協力

榊 淳司さん

「榊マンション市場研究所」代表。住宅ジャーナリスト。約30年間、マンション分譲を中心に不動産業界に関わる。辛口な批評が支持され、テレビ、ラジオ、新聞雑誌などに多数出演。自身のホームページでも情報発信しているほか、不定期でセミナーも開催している。『マンション格差』(講談社現代新書)など著書多数。
▼榊 淳司オフィシャルサイト
http://www.sakakiatsushi.com/