売却額、住宅ローン、税制優遇etc. ファイナンシャルプランナーが薦める家の買い替え時の資金計画の立て方!

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今の家を手放して新しい家への買い替えを検討する際、やはり大きなハードルとなるのが「お金」です。
どういう考えを持ち、どんな計画を立てるのがいいのでしょうか。不動産に詳しいファイナンシャルプランナー、大石泉さんに聞きました。

※マンションAIレポート内では取材当時の情報で掲載しております。

●自分、相手、世間の3つを知ること

「私はいつも、まず『自分』『相手』『世間』の3つを知りましょうとアドバイスしています。『自分』とは、貯蓄やローン残高、家の売却額など。そして、家を買い替えてどのような暮らしをしたいのか、希望のライフスタイルなども重要です。『相手』とは、買い替え先の物件価格等の物件情報やエリア情報など。『世間』とは、優遇税制や金利といった世の中のことです。これら一つひとつをしっかりと押さえていきましょう」(大石さん 以下同)

1. 売却額で買い替え前の住宅ローンを完済しよう

理想的な買い替えの資金計画は、今の家の売却額で住宅ローンを完済すること。そして、新しく住宅ローンを組む際は年齢や家計状況を考慮し、月々の返済額を無理なく返し続けられるよう設定します。

「金融機関によっては『買い替え専用ローン』があり、今の家を売ったお金で住宅ローンを完済できなくても、新しい住宅を担保に残債分も含めた住宅ローンを組めることがあります。しかしそうなると、それまでの住宅ローンの残高以上の借入額となり、返済期間も残期間以上となる可能性が高く、家計への負担が大きすぎます。よほどの事情があっても買い替え専用住宅ローンの利用は慎重に判断したいところです」

こうしたリスクがあるにも関わらず、ローンを組めてしまうことに大きな落とし穴があると大石さんは続けます。

「みなさん勘違いしがちなのですが、住宅ローンで『借りられる額』と『返せる額』は違います。同じ年収800万円でも子どもが1人なのか2人なのかで、かかる教育費は違いますよね。でも、銀行などはその人の年収だけを判断して住宅ローンの額を設定するのが基本です。収入から支出を引いた"使えるお金"で住宅ローンを無理なく払い続けられるか、自分たちで判断する必要があります」

2.今の物件の売却額が決まってから、新しい物件を考える

家の売却額を把握したうえで、住みたいエリアや家に求めるスペックを洗い出し、新しく購入する物件の金額について落としどころを決めていくことが、地に足の着いた資金計画を立てるコツです。

とはいえ、場合によっては、すでに購入したい物件が決まっている人もいるでしょう。実際、大石さんのもとにも「来週契約なんだけど......」と、相談に来る人もいるのだとか。そうしたときは特に、その物件が買えるのかどうか、詳細な家計の把握が欠かせません。

「売却額が決まっていない状態では、そもそも今借りている住宅ローンが返済できるのか、頭金はどのくらい準備できるのかといった下準備ができません。簡易査定による金額をもとに考えますが、親から贈与を受けられるのか、利用できる控除はあるのか、貯金はどのくらいあるのかなど、ありとあらゆる方面から購入の実現性を探ります。ただ、目論見が外れてその通りに行かないことも......。やはり売却額が決まってから、新しい物件を検討する方が安全だと思います」

相談する夫婦

3. 売却して利益が出ても損が出ても、税制優遇を活用する

家を買い替えるなら、税制優遇についても知っておきたいところ。売却によって利益が出た場合、損失を出した場合、それぞれのケースを見てみましょう。※税制特例について、詳細は最寄りの税務署などへご確認ください。

■売却して利益が出た場合

(1)居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売った際、居住期間の長さに関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できる仕組みで、控除部分には税金がかからない。

(2)特定の居住用財産の買換えの特例
特定のマイホーム(居住用財産)を2017年12月31日までに売却して家を買い替えると、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税が繰り延べられ、買い替えた物件を売るまでは税金がかからない。

大石さんによると、まずは(1)の3,000万円の特別控除の利用を考えます。ただし、譲渡益が3,000万円を超える場合で、買い替えた物件の売却予定がないようなケースでは、一定の条件のもと、(2)の方の課税額が少なくなる場合があります。

「(2)について、もう少し具体的に説明しておきましょう。たとえば3,000万円で買った物件を4,000万円で売却し1,000万円の利益が出たならば、通常はこの1000万円が課税対象です。ところが、売却代金を次の物件購入へ投入し、5000万円の物件に買い替えたならば、譲渡益1000万円には税金がかかりません。この場合、税金が免除されるわけではなく、買い替えた物件を売却するときに課税される仕組みです。」

■売却して損が出た場合

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき)
2017年12月31日までに住宅を売って損が出たら、その譲渡損失は給与所得などと損益通算できる。その年に損益通算をして損失を相殺できなかった場合は、翌年以後3年は繰り越して控除可能。

「これらの制度以外にも、お金の面で考えるべき項目はあります。たとえば、これから借りようとしている住宅ローンの金利です。現在は超低金利で、10年固定タイプは0.5%台のものがいくつもあります。考えておきたいのは10年後のこと。そのときの金利がどうなっているかは誰にもわかりません。ならば、今選択すべき金利タイプは、変動金利よりも固定金利かもしれません。先々を見通した対策が欠かせないのです。

また、物件の売買にはさまざまな諸経費が発生するため、こういったお金もあらかじめ調べて置くべきでしょう。さらに、もし次の購入物件が見つかるまで賃貸物件で暮らすなら、当然ながらその費用もかかります。

自分の資産状況や住みたい家の価格、住宅とお金にまつわる各種制度。それぞれを確認して、自分に合った余裕のある資金計画を立てましょう!

取材・文:南澤悠佳

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有限会社ノオト所属の編集者、ライター。得意分野はマネー、経済。子育てや不動産、会計など、企業のオウンドメディアを中心に担当する。Twitter ID:@haruharuka__

記事編集:有限会社ノオト

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取材協力

大石 泉さん

ファイナンシャルプランナー。株式会社NIE.Eカレッジ 代表取締役。一般社団法人夢の実現サポーター 代表理事。幸せ住まいライフ塾 主宰。著書に『「自分らしさ」をかなえる!女性のためのマンション選びとお金の本』(平凡社)など。
▼公式サイト
http://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html

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