不動産売却時の譲渡所得にかかる税金控除を詳しく解説!

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マンション等の不動産を売却して得た譲渡所得には税金がかかります。一体、いくらくらいになるの?上手に節税できる手段はある? 不動産の税金事情に詳しい東京シティ税理士事務所の山端康幸さんに聞きました。

※マンションAIレポート内では取材当時の情報で掲載しております。

●不動産売却時の特別控除の適用条件は?

「大前提として、譲渡所得にかかる税金を節税することはできません。ただし、特別控除の適用を受けられたり、物件の所有期間で税率が下がったりすることはあります」(山端さん 以下同)

たとえば、マイホーム(居住用財産)を売った場合、次の適用要件に当てはまれば、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受けることができます。

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件全てに当てはまることが必要です。
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)。
(3) マイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
(4) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
(5) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで(注)に売ること。
(注)東日本大震災により滅失した家屋の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります(「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください。)。
(6) 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

出典:国税庁ウェブサイト No.3302 マイホームを売ったときの特例

「ここで重要なのは、所有者による "生活の実態"があるかどうかです。生活の実態とは、その家から通勤や通学をしているか、あるいは公共料金の請求先になっているかといった点です。仮に東京に物件を持っていても、転勤でその家に住まなくなって3年目の12月31日を過ぎると、3,000万円の特別控除は受けられません。ただし、家族がそこに住んで生活している、または3年以上経っても東京の家に戻り、再びその家で暮らしているという生活の実態があれば、控除を受けることができます」

なお、この控除は"居住用財産"と決められているため、投資用物件や空き家、別荘などの売却には適用除外になります。

「マイホームを売却する際は、その所有期間で税率が変わります。5年を超えると税率が下がるため、もし4年住んでいて急いで売る必要がないのなら、税制面のメリットを見てあと1年待つのも一つの選択肢になるかもしれません。とはいえ、不動産の売却はタイミングが肝心といわれますので、税金だけを見ての判断は避けた方がいいでしょう」

■譲渡益に対する税率
5年以下(短期譲渡所得)......39.63%
5年超(長期譲渡所得)......20.315%
10年超(長期譲渡所得)......14.21%(課税譲渡所得が6,000万円以下の場合)

費用を計算する男性

●不動産売却時にかかる税金の計算方法とは?

上記を踏まえ、具体的に物件を売却したら、どのくらいの税金がかかるのでしょうか。課税される所得の算出方法は次の通りです。

<計算式>
譲渡所得=譲渡価格-(取得費【※】+売却費用)
【※】取得費は減価償却費を差し引く。
課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除
税額=課税譲渡所得×譲渡益に対する税率

<例>
譲渡金額......9,000万円
仲介手数料......274万円
購入金額......7,000万円
(1997年購入、土地4,000万円、建物3,000万円)

減価償却費(建物購入代金×0.9×償却率×経過年数)
3,000万円×0.9×0.031×20年=1,674万円

取得費
7,000万円-1,674万円=5,326万円

譲渡所得
9.000万円-(5,326万円+274万円)=3,400万円

課税譲渡所得
3,400万円-3,000万円=400万円

税額400万円×14.21%=56万8,400円

「物件を売却して利益が出たら、翌年には確定申告が必要です。また、損失が出た場合も条件に合えば特例を受けられますので、確定申告をするといいでしょう」

ちなみに、マイホームを売って2017年12月31日までに新しく家を買い替えると、適用条件に合えば、「特定の居住用財産の買換えの特例」を受けることができます。この場合は、買い替えた物件を売却するまで譲渡益に税金がかかりません。

譲渡益にかかる税金の節税方法はないものの、活用できる税制優遇制度は知っておきたいもの。物件を売却した際、自分はそうした制度を活用できるのか、専門家に確認してみるといいでしょう。

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取材・執筆:南澤悠佳
有限会社ノオト所属の編集者、ライター。得意分野はマネー、経済。子育てや不動産、会計など、企業のオウンドメディアを中心に担当する。Twitter ID:@haruharuka__

記事編集:有限会社ノオト

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取材協力

山端康幸さん

税理士。東京シティ税理士事務所所長。不動産税務、相続を得意とする。主な著書に『ざっくりわかる!! マイホームの税金入門』(大蔵財務協会)など。

東京シティ税理士事務所
http://tokyocity.co.jp/

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